治験した

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19日目です。
最近2週間ほど泊まる治験をしたので、適当に書いていきます。
元気出していきましょう エーザイ
治験経験は何回かありますが、全て同じ施設で参加なので、 他の施設では異なる箇所があるかもしれません。
あと、健康な人向けの、1週間以上泊まる治験しか参加したことがないので、以下の内容はすべてその前提です。
宿泊がない (自宅で様子を見る) ものや数日の宿泊で終わるもの、泊まったり泊まらなかったりで半年近く様子を見るものなど、いろいろな種類の治験があるので以下の情報は参考程度にご閲覧ください

治験の流れ

治験には、申し込みだけでは参加できません。
申し込み後に検査があり、その結果しだいで投薬対象候補になるかどうか決まります。
"候補" と付けたのは、予備人員を含めた人数を確保しているためです。
最初の検査から投薬日まで、長いと1か月近く間隔があるので、その間に体調不良や事故などで参加できなくなり、人数が集まらなくなるのを防いでいるんじゃないですかね。しらんけど。
最初の検査を通過すると泊まる準備をして投薬日前日に集合します。
ここでまた検査をして、次の日に投薬をおこなうメンバーと、次の日に帰るメンバーと、今日帰るメンバーを決めます。
この集合日まででの予備人員を確保した上で、さらに集合日からその次の日の投薬直前まででも予備人員を確保しています。
そして、投薬直前にも検査をして、ここまで問題のなかった人が最後まで参加できます。
図にするとこんな感じです。

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治験の流れ
ちなみに、期間中は任意のタイミングで参加を中止することができます*1
ただし、治験の内容によっては投薬後に中止を申請しても、数日様子を見たうえで許可が降りないと帰れないものもあります
てんかん用の新薬などが一例です。

申し込み

健康な人向けの治験では、年齢と BMI が規定の範囲内で、一定期間禁煙・禁酒ができ、特に病気がなければ基本的に誰でも申し込めます
人数に制限がありますが、申し込むと最初の検査までは必ず受けられます
検索すればその手のサイトはたくさん出てきますが、治験をおこなう施設には当たり外れがあるという話を聞きます。
参加者のレビューを参考にしたいところですが、個人情報関連の法律は病院のカルテがあるからできたと言っても過言ではないほど、病院というのは情報の取り扱いに慎重なところなので、あまりおおっぴらにレビューできるものでもありません。
この記事でも具体的な言及はしません。
幸いにも私が参加しているところは設備もそれなりで特に不満点はなく、医師や看護師も親切な方ばかりなのですが、 Google Maps のレビューではあまりよく書かれていないので、 Google Maps のレビューも参考になりません。
おそらく検査で落とされた人が腹いせに書いたんでしょう。しらんけど。
まあ、外れても頑張ってください。

申し込んでから

検査に通るためにはなるべく健康的な食生活をします。特に油ものや間食は控えます。
タバコやアルコール、カフェイン、市販薬や漢方も含む薬類は使わないようにします。
あとは過剰な運動も血液中の CK*2 濃度が上昇するので、1週間前から控えます。
前日の飲み物は水か麦茶だけです。
前日の夕飯の時間も決まっています。
このあたりは申し込み確認のメールなどにも書いてあると思います。

最初の検査から参加決定まで

検査直前は食事ができません。 午前集合の場合、検査が終わるまで当日は絶食です。水か麦茶のみ摂取できます。
午後集合の場合、きまった時間内に朝食を必ず食べ、以降は検査終了まで絶食です。
アメやガムなども禁止です。
検査では身長、体重を計り、尿や血液を採取するほか、心電図や血圧の計測、レントゲン、一般的な診察、紙の問診などをおこないます。
また、今回の新薬はどういう病気に向けたものか、ラットなどの動物に投薬した実験データや人間への治験結果から,どういった副作用が出る可能性があるか、どこが開発しているのか、補償はどうなっているかなどが詳細に書かれた冊子が配られ、医師からもひととおりの説明を受けます
あとは同意書に署名したりもします。
基本的に泊まり込みなので、必要な持ち物、持ってきても大丈夫なもの、ダメなものなどが記載された用紙が配られ、その説明も受けます。
集合日までに健康でなくなったら意味がないので、その日までの過ごし方、食べものに関する注意点などの説明も受けます。これも用紙が配られます。
ほぼすべての治験において、

  • タバコやアルコールは数日から1週間前あたりから禁止
  • 薬類の服用が禁止 (体調を崩したら連絡する)
  • グレープフルーツなどの柑橘類が禁止*3
  • セントジョーンズワートなどのハーブ製品の摂取が禁止

となっていて、治験内容によっては追加で禁止なものがあったり、睡眠時間の記録を取ったりするものもあり、そういう説明も受けたりします。

この検査の結果、集合するメンバーに選ばれたかどうかの確認は、集合日の2日前くらいに電話で確認します。
メンバーに選ばれたら、さらに集合日当日の検査で

  • 当日帰る人*4
  • 明日まで泊まる人*5
  • 最後まで参加する人

が決まります。 つまり、集合日の2日前と当日に、参加予定の日がすべて白紙になる可能性があります
なので、参加できなくても生活がどうにかなる人のみ参加することをおすすめします
ちなみに当日帰る人は交通費程度が出ますが、1泊だけして帰る人にはそれなりの協力費が出ます。*6

入所するとどんな感じか

治験では入院のことを「入所」と言います。

院内の設備など

院内の設備については最初の検査の日に配られる用紙に簡単に書いてありますが、もう少し詳しく書くと以下のような感じです。

パジャマが1着用意されています。宿泊日数が長くなるともう1着支給されます。 下着など、それ以外は自分で持っていく必要があります。
洗濯機と乾燥機が使えるのでそんなにたくさん持っていく必要はありません。
ただし、台数は多くないので、任意のタイミングで使えないことが多いです。
シャワー後に使う人が多いので、その時間帯を避ければ比較的空いています。

昼食、夜食は基本的に弁当で、こんな感じです。
お弁当Aメニュー | ロケ弁 No.1 KIZAN
朝食は小さめのおにぎり3つだったり、サンドイッチだったり、かなり軽めです。
弁当ではなく、バナナとカルシウムウエハースとゆで卵と…みたいな場合もあります。
一般的な病院食とは違い、しっかり味のあるものが食べられます
飲み物はウォーターサーバーの水か麦茶が無限に飲めます
電子レンジで温めることはできますが、やはり台数がないので食事のときは混みます。
ただし、朝食、昼食、夕食と水、麦茶以外は一切口にできません
おそらく摂取カロリー量などの条件を同じにする必要があるため、出された食事はすべて食べる必要があります
摂取カロリーはちゃんと計算されているので、数キロレベルで太ったり痩せたりすることはほぼないです。

寝るところはよくある大人数用の病室で、角度がつけられるベッドがあります。
通常の病室とは違ってベッドとベッドの間は 1m から 1.5m ほどで、カーテンでの仕切りが一切ないです。
病室とは別に、机と椅子、テレビなどがあるデイルームがあり、日中はベッドの上かデイルームで適当に過ごすことになります。
シャワールームと洗面所もいくつかあり、シャワールームは決められた時間に順番に使います。
シャンプー、ボディソープ、洗顔料、歯磨き粉は用意されています。
これらも含め、自分の化粧品類を持ち込んで使うのには申請が必要です。成分に問題がなければ使えます。*7
あとは鍵付きのロッカーがあるので、貴重品などはしまうことができます。
というわけでフロア内で衣食住が完結しているため、フロア移動も含めて外出は一切禁止です。

その他

基本的に暇なので、いろいろな暇つぶしのものが用意されています。

マンガ

マンガがいちばん数が多く、数百冊くらいあります。
年代は2000年以降のが多く、最近の作品もあります。

小説

主に文庫本サイズのがそこそこあります。

雑誌

少年誌、Newsweek みたいなビジネス誌、大人の休日みたいな娯楽誌、 Newton などが置いてあり、新刊は発売日になるといつのまにか置かれています。
有名人の人権を侵害することが売りの卑しい週刊誌などは置いてないです。

新聞

新聞があります。

テレビ

テレビはデイルームに何台かあって、自由に視聴できます。

DVD

いろいろな映画などが用意されていて、デイルームのテレビにプレイヤーが繋がっているのでここで視聴することができます。
ただ、視聴している人は見たことがないです。
パッケージだけ置いてあって、申請すると中身が出てくる仕様になっています。

ゲーム

デイルームのテレビに接続されているPS3PS4がある。これもパッケージだけ置いてあって申請するとソフトが出てくる仕様になっています。 一度だけ、PS3ウイイレをしている人を見たことがあるので、ウイイレはあります。

PC

Windows 7 の古いノートパソコンが設置されています。
まれに使っている人がいます。

ボードゲーム

モノポリーや人生ゲームなどがあります。
他の被験者は知らない人しかいないので、遊ぶわけがないといつも思っています。
 
 
危険物と飲食物以外はだいたい持ち込めるし、 Wi-Fi も飛んでいるので、自分の PC やスマホを使っている人がほとんどです。
院内のマンガ、雑誌、新聞を読んでいる人もわりといます。

くすりをいれられる

投薬日は治験の日程の中で一番忙しいです。
投薬の時間はだいたい朝9時くらいからなので、それまでに心電図、採血、血圧測定をおこないます。
薬は注射で注入される場合と飲み薬の場合とあります。

その後

投薬直後1時間くらいは15分ごと、それからは30分ごと、1時間ごと、2時間ごと...といった感じで、その日だけで15回くらい採血をします
そのため、毎回注射針を刺すのではなく、点滴などで使われる留置針を腕に入れておき、留置針からのびたチューブに採血管をつけて毎回の採血をおこないます

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留置針

留置針は少なくともその日はずっと腕につけている必要があるため、つけている間はシャワーは浴びられません。
心電図も数時間おきにとります。
それ以外にも、自動血圧計をずっと腕につけて数時間おきに計測したり、蓄尿といって尿を全部提出したり、治験内容によってさまざまな調査をする場合があります。
ちなみに、投薬時間やその後の検査時間は00分にひとりめ、03分にふたりめ...という感じで分単位で決まっていて、この間の看護師さんは結構忙しいです。
投薬から2日も経てば検査の間隔が長くなってきて、1日1回とかになってきます。

何もしなくていいのはつらい

4泊以上の治験では、朝検査をして、あとは寝るまで何もない日がほぼ確実にあります。
そういう日が1日や2日ならいいですが、何日も続くと結構つらいです。
長期の治験を受ける場合は、暇つぶしの準備は万全にしたほうがいいです。
何もない日のスケジュールは、朝7時半くらいに起床、朝の検査、朝食、昼食前のラジオ体操、昼食、夕食、どこかのタイミングでシャワー、23時に消灯と、ほぼ日常生活と言える感じです。
ただ、フロアから一切出られないので、暇つぶしにも飽きてくるとこういうなんでもない食事やラジオ体操がだんだん楽しみになってきます
もう一度言いますが長期の治験を受ける場合は、暇つぶしの準備は万全にしたほうがいいです。

入所のあとには通所がある

治験では、通院のことを「通所」と言います。
大抵の治験では、入所だけでは終わらず、その後に通所して検査をする必要があります*8
通所は午前中集合で尿や血液、心電図などをとり、一部の結果を待ってお昼までには終わる内容です。
1回で終わるものもあれば、数ヶ月かけて10回くらい通うものもあります。

通所はつらい

最後の通所が終わるまでは治験の期間なので、一番最初の検査のときと同様に健康的な食生活を心がけ、過度な運動も控え、タバコやアルコール、薬類も控える必要があります
通所期間中は自宅ですごすことになるので、身の回りにあるおかしなどのジャンクフードやアルコール、タバコなどの誘惑に打ち勝たなければいけません
入所中の刺激がない毎日とはまた違ったつらさがあります。

治験を受けるメリット

つらいことばかり書いてきたので、よいことも書きます。

まとまったお金が入る

金は生きるのに必要です。
ただし、最初の申込みから入金まで少なく見積もっても2か月ほどかかるうえ、健康状態によっては参加できずに3か月、4か月以上かかってしまう場合もあります。
上にも書きましたが、参加できなくても生活がどうにかなる人だけ申し込むようにしましょう
また、投薬対象になると、投薬から4か月は他の治験に参加できなくなります
連続で治験に参加し、それだけで生活することは無理です。
あと、協力費は雑収入になるので額によっては確定申告が必要です。

入所中は生活費がかからない

食事は提供されるし、外には出られないのでお金はかからないです。

血を抜いてもらえる

美容室とかでシャンプーしてもらうのが好きなのに似ているんですが、血を抜いてもらうのが結構好きなので、血を抜く回数が多い治験は好きです。
献血も好きなんですが、治験をすると一定期間献血ができなくなるので注意です。

血が見られる

採血管とかに血が入っていくのを見るのが結構好きなんですよね。
献血では自分の血があまり見られないので、治験のほうがいいです。
 
 
そんな感じです。
今回は2週間ほどの入所と1回の通所で30万円ちょっとをせしめてきました。
ではさようなら。

*1:中止した場合の協力費は満額ではなく、それなり

*2:クレアチンキナーゼの略で、筋肉が損傷したりすると値が高くなる

*3:相互作用が確認されている薬が多く、新薬への影響が未知なため

*4:集合日までに体調不良の人が現れる可能性があるため、多めの人数を集める

*5:投薬までに体調不良の人が現れる可能性があるため、予備の人員を確保しておく

*6:たぶん2万円くらい。しらんけど

*7:パッケージの成分を見て判断されているようなので、別の容器に詰め替えたりしているとだめ

*8:電話して体調確認だけで終わる場合もある